ピラティスの呼吸法とは?腹式呼吸との違いと正しいやり方について
運動不足を改善したい、理想の体形になりたいと思われている方に向けて、ピラティスの呼吸法についてご紹介していきます。
ピラティスを始めたものの、「呼吸がうまくできない」と悩む方は多いです。
また「もしかしたらヨガの呼吸の方がキレイになれるのかな?」と考えてしまう方も。
そこで今回の記事では、ピラティスの胸式呼吸のコツや効果、腹式呼吸との違いについて解説します。
より効果的に実践するための準備運動も紹介します。参考にすることで、呼吸法の効果を実感しやすくなります。
目次
ピラティスの基本理念
ピラティスの基本理念は、呼吸と姿勢を重視することです。
呼吸と姿勢を正しく行うことにより、筋肉や骨格など全身を整えて健康的になるのが目的です。
もともとはリハビリテーション用の運動として開発された経緯があることから[1]、「身体を整える」ことを重視するのがピラティスです。
動きながら胸郭に空気を入れる「胸式呼吸」を行うことも特徴のひとつです。
ピラティスでは動きが重視されがちですが、呼吸と姿勢の基本理念を守らなければ効果が表れにくくなります。
ピラティスでは呼吸と姿勢が重要であることを理解しましょう。
ピラティスの呼吸法(胸式呼吸)の手順
それではピラティスの呼吸法はどのように行うのでしょうか?
ヨガでは腹式呼吸が推奨されていますが、ピラティスでは次のように胸式呼吸を行います。
STEP1:あばら骨を動かす
ピラティスの胸郭を広げる呼吸の最初のステップは、あばら骨を動かすことです。
胸郭やあばら骨を全体的に、風船をふくらませるように大きくしてください。
お腹や肩、首の筋肉を使わず、胸だけを意識します。あばら骨あたりに手を置きながら行うとわかりやすくなります。
あばら骨は上部が前後に開き、下部が左右に広がる特性を持っています。
もしうまくあばら骨全体が広がらないようであれば、下部が左右に広がるように意識してみましょう。
STEP2:あばら骨が開いたタイミングで息を吸う
あばら骨を広げられたら、鼻から息を吸っていきます。
広がったあばら骨の中に空気を入れるように、さらに広げていく感覚です。
ただしあばら骨を開こうと頑張って、胸が張り出してしまってはいけません。
反り腰になって姿勢が悪くなってしまいますので、あくまでもまっすぐな姿勢のままであばら骨を広げましょう。
頭が下がると反対に猫背になるため、頭の位置も動かさないでください。
背中と胸だけを意識しながらゆっくりと息を吸っていくとあばら骨を広げやすいかもしれません。
STEP3:口から細く長く息を吐ききる
鼻から息を吸いきったら、口から細く長く息を吐いていきましょう。
思い切り肺に吸い込んだ空気がすべてなくなるほど、ゆっくりと吐いて、あばら骨の広がりが元に戻っていくのを感じてください。
目安となるのは、「吸うときの倍以上の時間をかけて吐く」ことです。
細くゆっくりと、時間をかけて息を吐くことが重要となります。
腹式呼吸との違い
胸式呼吸と腹式呼吸の違いは、動かす筋肉や内臓、骨が異なることです。
胸郭を広げる呼吸は、次のようなところを使います。
【胸の呼吸で使うところ】
- 腹横筋
- 内腹斜筋
- 肋間筋
- 横隔膜
- あばら骨
対して腹式呼吸では次の様なところを使うのが違いです。
【腹式呼吸で使うところ】
- 内腹斜筋
- 肋間筋
- 横隔膜
- 外腹斜筋
胸郭を広げる呼吸ではあばら骨や腹横筋を使っていたのに対し、腹式呼吸では主に肋間筋と横隔膜を使って呼吸を行います。
息を吸ったときに膨らむところは、腹式呼吸ではお腹ですが胸式呼吸であれば胸です。
そして呼吸を行ったときの効果についても違いがあります。
胸郭を広げる呼吸では自律神経のうち、交感神経が優位になるのに対して、腹式呼吸は副交感神経が優位になるのが違いです。
胸式呼吸は身体を活動状態にし、腹式呼吸は休息状態へ導く作用があります。
ピラティスの胸式呼吸を身につけるコツ
胸式呼吸は、最初は意識しないと習得が難しいことがあります。
胸郭を広げる呼吸を身につけたいと思われるなら、次のようなコツを実践してみてください。
コツ①腹部に力を入れる
胸式呼吸を行うには、腹部に力を入れることが大きなポイントとなります。
お腹に力を入れて、息を吸ったときに膨らまないように意識してください。
するとあばら骨が広がりやすくなるはずです。うまくできない人はぜひ試してみてください。
コツ②あばら骨を広げるイメージで呼吸する
あばら骨を広げるイメージをすることも、胸郭を広げる呼吸において重要です。
お腹に力を入れたままあばらを広げるようにイメージをすると、あばら骨に対してストレッチの力が加えられます。
あばらがより広がりやすくなるはずです。
最初はあばら骨に手を当てながら息を吸ってみると、あばら骨が広がるのを感じやすくなります。
ただし姿勢はまっすぐにしながら広がりを感じるのが大切です。
手を当てて、あばら骨が広がるようにイメージしてみてください。
コツ③口から息を吐く
ピラティスの呼吸で大切となるのは、「鼻から吸って口から吐く」ことです。
そして口から息を吐くときは、できる限り長い時間をかけて、ゆっくりと吐くことが大切です。
そして息を吐くにつれて、あばら骨の広がりが戻っていくことを感じましょう。
息を吐き切ったとき、身体の中に空気が残っていないような感覚になれば成功です。
コツ④姿勢を正す
ピラティスでの胸式呼吸の際には、姿勢を正すことが最大のコツとも言えるでしょう。
呼吸をすることに意識が向きすぎてしまい、反り腰や猫背になってしまっては効果が半減してしまいます。
正しい姿勢は、顎を引き、背筋を伸ばして立つことです。
背筋が伸びていて、あばら骨の位置がブレないように意識してください。
もし姿勢の維持が難しければ、仰向けになって行ってもよいでしょう。
「正しい姿勢」の基準は、壁に背中を付けたとき、後頭部とかかと、背中、お尻のみが壁に接触している姿勢です。
正しい姿勢が分からない場合は、ピラティスを始める前に壁を背にして立ってみるとよいでしょう。
ピラティスの胸式呼吸で得られるメリット
胸郭を広げる呼吸について、特徴や腹式呼吸との違い、具体的なやり方について解説してきました。
それではピラティスの呼吸を行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか?
主な3つのメリットについてご紹介します。
メリット①体幹を強化できる
胸郭を広げる呼吸には、体幹を強化する効果があります。
ピラティス自体が体幹強化作用の高いエクササイズですが、体幹を強化できる理由のひとつが胸式呼吸であることです。
胸郭を広げる呼吸をすると横隔膜を使います。
また腹筋に力を入れなければならないため、お腹周りの筋肉にも負荷がかかるでしょう。
そのためお腹から腰にかけての体幹が強化されやすくなります。
体幹が強化されると、姿勢が良くなるだけでなく、内臓の位置が整い、くびれもできやすくなります。
女性が美しくなるには体幹が重要であり、体幹を鍛えるためには胸郭を広げる呼吸が役立つはずです。
メリット②血行が良くなる
全身の血行を改善する効果も期待できます。
胸郭を広げると十分な酸素が体内に行き渡るようになり、身体のあらゆる部分まで酸素を送れるようになります。
酸素が十分に行き渡ることで、代謝が向上し、血流が改善されます。
結果として血流が促進され、手足の冷えや肩こり、便秘、むくみなどの不調が改善されることが期待できます。
日常的に「なんとなく体調がすぐれない」と感じる人は少なくありません。
胸式呼吸によって血流を改善すれば、症状が緩和される可能性があります。
メリット③効率よく筋肉に刺激を与えられる
ピラティスで胸式呼吸を行うと、筋肉への刺激を効率的に与えられるようになります。
胸式呼吸によって血流が改善されると、症状が緩和される可能性があります。
呼吸している間は、呼吸しているだけで腹部周辺の筋肉が使われています。
体幹である横隔膜も使うため、体幹も鍛えられていることでしょう。
腹部周辺は、ボディメイクをしているなら最も気を使いたいところではないでしょうか?
胸式呼吸を取り入れることで、男性は引き締まった腹筋を、女性は美しいくびれを目指せます。
効率よく腹部の筋肉に刺激を与えられるのは、ボディメイクをするうえでのメリットと言えます。
ピラティスの胸式呼吸を効果的に行うための準備運動
ピラティスで胸式呼吸を行うと、姿勢やボディメイクへのさまざまなメリットが期待できます。
しかしより効果を高めるには、準備運動が必要です。
次にご紹介するちょっとした準備運動で、胸式呼吸の効果がより高まります。
ピラティスを実践するならぜひ行ってみてください。
背中側と正面側のストレッチを行う
まずは背中側と正面側のストレッチを行いましょう。姿勢を正して、背中側を伸ばすようにします。
猫背になっていると背中側の筋肉が常に伸ばされた状態になってしまって、深い呼吸ができません。
また正面側のストレッチを怠っても、呼吸が滞ってしまうことがあります。
ピラティスで胸式呼吸をする前には、手を組みながら前に伸ばし、さらに上に伸ばし、背中周りの筋肉をほぐしてください。
背中をほぐしながら身体を左右に揺らすと、正面側のストレッチも同時に行えます。
鎖骨周りをマッサージする
続いては鎖骨周りのマッサージを行ってください。
美しい鎖骨を作り出すには、姿勢を正しく保つ必要があります。
背筋や首を伸ばして、鎖骨周りの血の巡りを改善していきましょう。
ゆっくりと首を左右に倒すだけでも鎖骨周りの血の巡りがよくなります。
また腕を大きく動かすなど、肩甲骨周りをほぐすマッサージも効果的です。
もちろんマッサージ器具を用いて、鎖骨周りをマッサージしてもよいでしょう。
ピラティスで胸郭を広げる呼吸を行う前には、鎖骨のマッサージを忘れないでください。
横隔膜周りをマッサージする
呼吸法のカギともなる、横隔膜周りのマッサージをすることも欠かせません。
どのようにマッサージすべきかわからない人も多いでしょうから、次のような手順で行ってみてください。
【横隔膜周りのマッサージ】
- みぞおちに人差し指と中指を当てて小さく円を描く
- 人差し指・中指・薬指・小指をみぞおちに入れる
- 呼吸をしながら指がみぞおちに入り込むように上半身を倒す
- 息を吸いながら上半身を起こす
- あばら骨の下に4本の指を入れ、上半身を前に倒してゆっくりと起こす
初めての人は、横隔膜のマッサージに慣れていないことが多いでしょう。
しかしみぞおちからあばら骨の下にかけて、指を差し込んで上半身を動かすだけで横隔膜はほぐれます。
ご紹介した手順を参考にしながら実践してみてください。
肋間筋をマッサージする
ピラティスの胸式呼吸を行う前に、仕上げとして肋間筋のマッサージを取り入れましょう。
肋間筋とはあばら骨の間にあり、呼吸運動に影響する呼吸筋のこと。横隔膜と連動しています。
肋間筋のマッサージは次のように行いましょう。
【肋間筋のマッサージ】
- 左のあばら骨を右の指の腹で押さえる
- そのまま優しくさする
- 脇の下から脇腹まで同じようにさする
- 右のあばら骨も同じように行う
肋間筋のマッサージは、あばら骨の間を優しくさするだけで完了します。
反対側の手の指の腹を使い、優しくさすりましょう。
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ピラティスの胸式呼吸は正しいやり方とコツを知って
いかがでしたでしょうか?この記事を読むことで、ピラティスの胸式呼吸のコツを理解できたのではないでしょうか。
胸式呼吸では、特定の筋肉を意識する必要があり、習得には練習が欠かせません。
ピラティス初心者にとっては、胸式呼吸のコツを習得すること自体が難しいかもしれません。
スターピラティスでは、レッスン中にインストラクターが常に付き添います。
呼吸法だけでなく、正しい動きも指導するため、初心者でも安心して取り組めます。
ピラティスを始めたい方は、お気軽にご相談ください。
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参照:JSTAGE:(PDF)運動の継続を促進する指導者の特徴:ピラティス指導者の質的分析
監修者

山中 隆博
SDフィットネス
パーソナルトレーナー
山中 隆博
SDフィットネス パーソナルトレーナー
<資格>
- 日本ダイエット検定1級
- プロテインマイスター
- フィットネスマネジメント検定2級、1級学科
<略歴>
大学を卒業後、インストラクターとして大手スポーツクラブへ入社し、300名以上のパーソナルトレーニングを経験。その後、専門学校の非常勤講師やキッズミュージカル劇団総監督を経て、当社に入社。現在はSDフィットネスの統括責任者を担当する傍ら、業界セミナー等にも登壇している。