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スプリング=重り?ピラティスの負荷がもたらす独特な感覚

皆さん、こんにちは!
マシンピラティスを体験したことのある方なら、リフォーマーやキャデラックなどのマシンに使われているスプリング(バネ)が、負荷の源であることをご存知でしょう。赤、黄、緑など、色によって強度が異なるこのスプリングですが、「結局、ジムのダンベルやケーブルマシンと同じ『重り』なんじゃないの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、ピラティスのスプリングが提供する負荷は、一般的なウェイトトレーニングの負荷(重力)とは根本的に性質が異なります。この独特な負荷の性質こそが、ピラティスが体幹と深層筋に効果的にアプローチできる最大の秘密なのです。
今回は、スプリングの負荷が従来の筋トレとどう違い、それがあなたの体幹コントロールにどのような影響を与えるのかを徹底解説します。
重力(ダンベル)とスプリングの「質的な違い」
一般的な筋トレで使用するダンベルやバーベルの負荷は、「重力」です。重力は常に一定で、地面に向かって垂直に、「重い」という感覚を与え続けます。
一方、ピラティスのスプリングが提供する負荷は、「抵抗力」と「アシスト力」という二つの性質を併せ持っています。
- 可変的な抵抗力(抵抗): スプリングは、伸ばせば伸ばすほど抵抗が強くなり、縮めれば縮めるほど抵抗が弱くなります。つまり、動作のスタートとエンドで負荷の強さが変わる「可変抵抗」です。
- アシスト力(補助): スプリングは常に「元の位置に戻ろう」とする力を発生させています。このため、動作を元に戻す際や、ある特定のポジションを維持する際に、マシンがあなたの動きを「補助」してくれる作用があります。
この「可変抵抗」と「アシスト」こそが、ピラティスのスプリングが重力と決定的に違う点です。

スプリングの負荷が体幹コントロールに与える影響
このスプリングの独特な性質は、体幹の安定性とコントロールに以下のような影響を与えます。
影響①:体幹の「コントロール力」を磨く
ウェイトトレーニングでは、負荷の持ち上げ(短縮性収縮)に集中しがちですが、スプリングは「ゆっくりと元に戻る動きを耐える(遠心性収縮)」ことに大きな焦点を当てます。
特に、スプリングが縮む際に発生するアシスト力に対し、あなたは「スプリングに急かされず、自分の力でゆっくりと」戻るよう意識しなければなりません。この制御こそが体幹の深層筋(コア)に持続的な緊張を与え、繊細なコントロール力を徹底的に磨き上げます。
影響②:負荷を逃がせない「不安定性」への挑戦
リフォーマーのキャリッジ(台)は、ホイールに乗っているため、非常に不安定です。スプリングがこの不安定なキャリッジを常に引っ張っているため、動作中に少しでも体幹のバランスが崩れると、すぐにキャリッジがガタついたり、動作がブレたりします。
この「負荷を逃がせない環境」が、無意識のうちに体幹の安定筋をフル稼働させます。スプリングを使うことで、重いものを持ち上げることなく、体幹を徹底的に鍛えることができるのです。
影響③:正確な「アライメント」の獲得
スプリングは、あなたの体の歪みや力の偏りを即座にフィードバックします。例えば、左右どちらかの足に体重を多くかけてしまうと、キャリッジが斜めに動いたり、スプリングの伸び方が左右で違ったりといった形で「警告」が出ます。
鏡で動きを確認しながらスプリングの負荷と向き合うことで、最も効率的で歪みのないアライメントを脳と身体が学習し、体幹から末端までを繋げる感覚が養われます。

スプリングは「コントロールの教師」である
ピラティスのスプリングは、単に「重さ」を増減させるツールではありません。それは、あなたの体幹の安定性、コントロール、そして正確なアライメントを継続的に「指導」してくれる優秀な教師のような存在です。
スプリングの色や強さに気を取られるだけでなく、「今、スプリングの抵抗に耐えられているか」「スプリングに急かされず、自分のペースで戻れているか」という点に意識を集中しましょう。
スプリングの特性を理解することで、あなたのピラティスの効果は格段に深まるはずです。
監修者
山中 隆博
SDフィットネス
パーソナルトレーナー
山中 隆博
SDフィットネス パーソナルトレーナー
<資格>
- 日本ダイエット検定1級
- プロテインマイスター
- フィットネスマネジメント検定2級、1級学科
<略歴>
大学を卒業後、インストラクターとして大手スポーツクラブへ入社し、300名以上のパーソナルトレーニングを経験。その後、専門学校の非常勤講師やキッズミュージカル劇団総監督を経て、当社に入社。現在はSDフィットネスの統括責任者を担当する傍ら、業界セミナー等にも登壇している。